日本小児血液学会雑誌
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血球貪食性リンパ組織球症の病態解析と治療の進歩
症例へのアプローチ
大賀 正一石井 榮一高田 英俊野村 明彦原 寿郎
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2006 年 20 巻 4 号 p. 191-200

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抄録

血球貪食性リンパ組織球症 (HLH) は, 高熱, 肝脾腫, 血球減少, 播種性血管内凝固などに骨髄の血球貪食像を呈する小児の免疫血液危急症である.感染などを契機に, T細胞の異常活性化が持続し, 制御不能な高サイトカイン血症に陥ることが本態である.近年, 家族性HLHにっいては細胞傷害性顆粒に関連した責任遺伝子が同定され発症起序が明らかになってきた.また, 原発性免疫不全症や代謝異常などの遺伝性疾患に続発するHLHも認識されている.一方, Epstein-Barr virus (EBV) 感染や膠原病に合併する二次性HLHの遺伝的背景は明らかではない.HLHをきたす疾患の異質性と治療選択の多様性は, 本症の診断と治療を困難にする.EBV-HLHの多い日本では, 海外の診断基準や治療プロトコールを慎重に適用する必要がある.本稿では, 遺伝性HLHを中心に概説し, 診断と治療のアプローチにっいて述べた.

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