日本小児血液学会雑誌
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血液内科での成人型初期治療後に小児型化学療法を行った思春期急性リンパ性白血病 (ALL) の6例
辻 尚子牧本 敦渡辺 温子細野 亜古森本 哲吉原 隆夫
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2007 年 21 巻 5-6 号 p. 232-237

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抄録
近年, 16歳以上の思春期ALLに対して強力な小児型の治療を行うことで, 成人より良好な治療成績を得られるという報告が欧米からなされている.他院の血液内科で初期治療後に小児型の治療を継続した16歳から19歳のB-precursor ALL 3例, T-ALL 3例に対し, その安全性と実施可能性について検討を行った.Grade3以上の有害事象は骨髄抑制と感染症で, Grade 3の感染症3例のうち2例は真菌性肺炎であった.また維持療法中の2例に大腿骨頭壊死を認めた.真菌性肺炎のため治療が遅延した2例で中枢神経再発を認めたが, 現在第二寛解を維持しており6例すべて無病生存中である (観察期間中央値3年6ヵ月).思春期ALLに対する小児型化学療法は, 感染症とステロイドに起因する大腿骨頭壊死の頻度の高さが今後の検討課題であるが, そのほかに重篤な有害事象は認めず, 移植を行うことなく予後の改善が期待できると考えられた.
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