抄録
新生児期発症の血球貪食リンパ組織球症 (HLH) の報告はまれである.今回, 医中誌Webより新生児期HLH症例を検索した結果, 26症例を検索しえたので解析を行った'半数以上の症例が原因不明であったが, 10例が母児感染と考えられるヘルペスウイルスやエンテロウイルスが原因であった.臨床検査所見では発熱は早産児では認めず, 血小板減少やAST, LDH, フェリチンの上昇が診断に有用であった.Solubleinterleukin-2receptorや尿β2-microglobulineを測定している症例は少なかったが, ほぼすべてで上昇していた.約半数は生存していたが, HLH-2004の診断基準を満たした8症例での生存は2名のみであった. HLHを早期に診断し, 免疫化学療法による早期治療介入により予後の改善が得られる可能性があるが, 重篤な感染症を発症する可能性が高く注意が必要である.