日本小児血液学会雑誌
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単一臓器型ランゲルハンス細胞組織球症の治療
森本 哲平嶋 良章中谷 拓也今村 俊彦
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2007 年 21 巻 5-6 号 p. 276-280

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抄録
ランゲルハンス細胞組織球症 (LCH) はもっとも頻度の高い組織球症であり, 病変が一臓器に限局した単一臓器型 (single-system型), あるいは多臓器に浸潤のある多臓器型 (multi-system型) からなる.単一臓器型と多臓器型の頻度比率は, ほぼ2 : 1である.単一臓器型はまた, 単一病巣あるいは多発病巣からなり, 骨病変が大多数 (90%) であるが, 皮膚, リンパ節, 肺などから出るものもある.多発病巣からなる単一臓器型LCHは全身化学療法の適応となるが, 再燃率を抑え, 後遺症, とくに中枢性尿崩症 (DI), 中枢神経系機能障害や整形外科的障害が残らないように治癒率を高めることが必須目標である.全身化学療法が行われなかった場合, 多発骨病巣型の再燃率とDI発症率は約40%, 約10%に上る.とくに, 頭蓋・顔面部位の骨病変は, 単一病巣でも多発病巣でも, DIや神経学的後遺症を合併しやすく注意が必要である.本稿では単一臓器型LCHの治療上の種々の問題点について述べた.
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