日本小児血液学会雑誌
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ランゲルハンス細胞組織球症の晩期障害と関連腫瘍
石田 也寸志
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2007 年 21 巻 5-6 号 p. 289-295

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抄録
ランゲルハンス細胞組織球症の晩期障害の頻度には報告により大きな差があるが, 約半数 (22~64%) の症例では何らかの晩期障害がみられる.晩期障害としてもっとも頻度が高いのは, 尿崩症 (15~50%) や成長ホルモン分泌障害 (5~20%) を含む内分泌障害である.その他のものとしては, 骨病変15% (2~42%), 歯牙異常 (3~30%), 聴力障害 (3~16%), 認知障害や小脳病変などを含む種々の中枢神経障害 (2~14%) などがあげられる.健康関連QOLは多臓器病変をもっ症例では50%以上の症例で障害されている.これまでに, ランゲルハンス細胞組織球症と関連した腫瘍は多数報告され, Histiocytosis Society のがん登録には157症例が登録されている.ランゲルハンス細胞組織球症に起因する臓器障害は思春期から成人期まで長期間続く問題になることがあり, 注意深く計画された包括的なフォローアップが必須であり, 早期に問題を発見し, 適切な介入を行うことにより, 患児QOLへの悪影響を少なくすることが可能である.
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