健常小児の血液中ポリアミンの構成と分布を明らかにした.103例の健常児より赤血球と血漿中の遊離型と抱合型ポリアミン値を測定した.参考値として成人9例からも同様に測定した.結果は小児では (1) 循環血液中の遊離型総ポリアミンとくに遊離型スペルミジンの赤血球内への偏在が著明であった. (2) 全血中総ポリアミン, 赤血球および血漿遊離型プトレシン, 赤血球遊離型および抱合型スペルミジンが成人より高値であった.今回の循環血液中のポリアミンの分布より, 循環血液中のポリアミン値の変動には赤血球中遊難型ポリアミン値が主に関与することが示唆された.また, 小児では, オルニチンからde novoで生成される経路と, 分解過程を経てN1-アセチルスペルミジンから再合成される経路から多量のプトレシンが生成され, この遊離型プトレシンに始まるポリアミンの生合成が亢進していることが示唆された.