日本小児血液学会雑誌
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ST合剤長期投与中の血液疾患患児とST合剤耐性グラム陰性桿菌敗血症の増加について
岡 敏明鈴木 豊清水 重男佐々木 暢彦藤田 晃三吉岡 一
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1990 年 4 巻 1 号 p. 22-27

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抄録
1976年12月より, 1988年12月までの12年間に旭川医科大学小児科で治療した65人 (白血病45人, 悪性リンパ腫12人, 再生不良性貧血8人) の血液疾患患児に, 29回敗血症が発症した.この29回の敗血症中, 14回は長期間 (3週間以上) ST合剤の予防投与を受けていた時期の児に発症した.14回のエピソード中11回はグラム陰性桿菌が分離された.11回のグラム陰性桿菌の10株について, ST合剤感受性を1濃度ディスク法で検討したところ, 10株中7株 (70%) はST合剤に耐性の菌であった.大腸菌の3株はすべて, ST合剤耐性菌であった.当院ではST合剤の予防投与を1979年から始めており, 1981年にはST合剤耐性菌による敗血症が起こっている.以上の結果は, ST合剤の予防投与を長期間行っている血液疾患患児でも, ST合剤耐性腸内細菌による致死的敗血症が起こりうることを示している.
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