Japanese Journal of Public Health Nursing
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Research Article
“Local Community Attachment” Scale and Factors for Late Middle-Aged Suburban Residents
Kazuko TakahashiJunko OmoriAtsuko TaguchiMika SaitoTaichi SakaiYasuko Mitsumori
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2018 Volume 7 Issue 2 Pages 80-90

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Abstract

目的:今後の保健事業での活用に向けて,向老期世代の“地域への愛着”と健康関連QOLとその他の要因との関連性を明らかにする.

方法:首都圏近郊のA県B市に在住する50~69歳の住民1,000人を対象に,郵送法による自記式質問紙調査を行った.調査内容は,“地域への愛着”の他,属性や地域との関わり・交流等を把握した.分析方法は,各変数と“地域への愛着”尺度の合計点および4つの下位尺度得点との関連性を検討した.

結果:“地域への愛着”は,性別,居住形態,居住年数,地域住民との付き合いの程度,地域のサークル等での趣味活動の経験,望ましい地域住民との付き合いの程度,地域の活動への参加意向,ソーシャル・サポート,健康関連QOLとの関連があり,下位尺度では異なる関連性も認められた.

考察:住民同士の交流を図り,下位尺度に関する地域への愛着を育むことで他の関連要因と相乗的に作用し,向老期の健康維持に寄与する可能性が示唆された.

I. 緒言

日本は急速な高齢化に対し,地域包括ケアシステムの構築を掲げ,自助や地域の互助をキーワードに要支援・要介護高齢者の支援体制整備を図っている.加えて,首都圏近郊都市部の高齢者人口の急増は,より深刻な課題となっており,高齢者の生活意欲の向上および,介護予防の観点から,地域の担い手として高齢者の社会参加への期待が挙げられている(三菱UFJリサーチ&コンサルティング,2013).

向老期から老年期の初期にあたる中高年層は,加齢や生活習慣の影響を受け,様々な健康問題を抱える時期にある.また同時に,退職等に伴う社会での役割の変化から,社会関係を新たに再構成するニーズが高まる時期でもある.この時期の地域との関わりや社会関係の再構成は,生活行動に変化をもたらし,新たな活動範囲やネットワークを広げ,向老期以降の健康維持につながる効果が見込まれる.

保健政策の方向を示した「地域保健対策検討会報告書~今後の地域保健対策のあり方について~」(厚生労働省,2012)では,住民ニーズの多様化・高度化に対応した地域保健対策の推進として,ソーシャル・キャピタルに立脚した健康づくり,健康なまちづくりの展開を挙げている.ソーシャル・キャピタルは「社会資本」や「社会関係資本」とも言われるが,その本質は人と人との「絆」や「支え合い」であり,ソーシャル・キャピタルの活用や醸成を通じたまちづくりへの意識が高まっている.

カーピアーノ(2008)は,近隣におけるソーシャル・キャピタルの理論モデルの概念化を行い,その中で,近隣への愛着との関連性を示している.ソーシャル・キャピタルのリソースであるソーシャル・サポート等に関連する要因の一つとして位置づけられているのが「近隣への愛着」である.リソースへのアクセスや結びつきは,人々によって異なることから,リソースと近隣への愛着やネットワークとの関連を検討することで,介在する要因の洞察が促進され,ソーシャル・キャピタルの理解が深まると説明している.ソーシャル・キャピタルに対する社会的関心の高まりとともに,地域への関心や関与を生み出すものとして,“地域への愛着”が注目されている.

“地域への愛着”は,教育や環境心理学,工学,都市計画等,様々な分野で取り扱われており,先行研究では,性別・年齢・仕事の有無等の個人属性要因(Hidalgo et al., 2001Brown et al., 2003小谷ら,2004),居住年数(萩原ら,2005引地ら,2005),地域の人々との交流(Brown et al., 2003Lewicka, 2005鈴木ら,2008),生活満足度(角田ら,2015)やQuality of life(以下,QOL)(Harris et al., 1995)等との関連が報告されている.また,定量化による量的研究の必要性から尺度開発が行われ(萩原ら,2005引地ら,2005),これらの尺度を用いた報告も積み重ねられている(鈴木ら,2008乾ら,2014).一方で,“地域への愛着”は定まった定義はなく,既存の尺度においても,概念や理論,項目の選定過程の不明瞭さ等の課題がある.加えて,これまでの国内における地域への愛着の研究では,健康との関連を検討した報告は少ない.保健医療分野の研究では,赤塚ら(2016)が主観的健康感の関連要因として地域への関心や愛着を示す地域コミットメント尺度を用いて分析しているが,関連は認められず,性差を考慮した検討の必要性を示唆している.地域への愛着と他の要因の関連を踏まえて,健康との関わりを明らかにすることが今後の課題となっている.

昨今,健康とソーシャル・キャピタルの関連性が検討されているが,その背景には,人の健康に対する社会環境要因の関与への関心がある(市田,2007).“地域への愛着”とQOL等の健康指標との関連性が明らかになることで,健康の維持・向上において地域に対する意識が重要であることを示すことにつながり,住民による地域づくり,まちづくりを推進する根拠とも成り得る.

以上のことから筆者らは,健康および他の要因も含めて“地域への愛着”との関係性を明らかにし,保健事業として展開する“地域への愛着”を育む健康増進プログラムを開発することで,急速な高齢化の進展により健康課題と地域課題が深刻化する都市部等における課題解決につなげられるのではないかと想定した.これまで筆者らは,公衆衛生看護の実践に“地域への愛着”の概念を取り入れる根拠と示唆を得るため,先行研究において概念分析(大森ら,2014)を行い,概念分析の結果をもとに,プログラムの評価ツールとして活用する向老期世代の“地域への愛着”尺度を開発した(酒井ら,2016).本研究は,“地域への愛着”の保健事業での活用可能性を検討するため,開発した尺度と健康指標およびその他の要因との関連性を明らかにすることを目的とする.

II. 本研究の概念枠組み

1. 概念枠組み

文献検討により,“地域への愛着”は,概ね「個人属性要因」(Hidalgo et al., 2001Brown et al., 2003小谷ら,2004),「生活関連要因」(Lewicka, 2005鈴木ら,2008),地域住民等との「社会関係要因」(引地ら,2005),QOL等の広義の「健康関連要因」(Harris et al., 1995)との関連が確認された.そのため本研究では,これらを関連要因として挙げ,概念図を作成した(図1).

図1 

“地域への愛着”の関連要因の概念図

個人属性要因は,性別,年齢,通院中の疾患の有無,世帯構成,仕事の有無を設定した.生活関連要因については,居住形態,居住年数,自治会・町内会の加入の有無,1年以内の自治会・町内会活動への参加の有無,地域住民との付き合いの程度,地域のサークル等での趣味活動の経験の有無を挙げた.社会関係要因は,社会関係の認識に関わる項目とし,望ましい地域住民との付き合いの程度,地域活動への参加意向,ソーシャル・サポートとした.健康関連要因は,健康関連QOLを設定した.

2. 用語の操作的定義

大森ら(2014)は“地域への愛着”を「日常生活圏における他者との共有経験によって形成され,社会的状況との相互作用を通じて変化する,地域に対する支持的意識であり,地域の未来を志向する心構えである」と定義している.本研究における“地域への愛着”は,大森らが定義した概念に基づいて開発された“地域への愛着”尺度(酒井ら,2016)の得点で表されるものとした.

III. 研究方法

1. 調査対象

首都圏近郊に位置するA県B市に在住する50~69歳の全住民のうち,居住エリア・年代・男女比に基づいて住民基本台帳データより多段階無作為抽出した1,000人を対象とした.

B市は1970年代の鉄道の開通に伴い,都心まで1時間弱という利便性から,沿線のニュータウン地区に住民が多数入居し,飛躍的に人口が増加した農村地域と新興住宅地が共存した地域である.2005年の人口は5.3万人,高齢化率は13%であったが,本研究の調査時の2013年の人口は約6.2万人で,高齢化率は約20%であった.B市は,短期間で老年人口の増加と住民の高齢化を経験した都市と言える.都市部の高齢者人口の急増に伴う健康課題や地域課題の潜在が見込まれる地域として本研究の検討に適していると考え対象地域とした.

本研究は,B市と聖路加看護大学(現聖路加国際大学)の共同実践研究事業として実施した.

2. 調査方法

調査期間は2013年2月上旬から下旬で,郵送法による無記名自記式質問紙調査を行った.なお,回収は同封した返信用封筒にて発送後2週間を期限とした.

3. 調査項目

1) “地域への愛着”尺度

“地域への愛着”尺度は,4つの下位尺度からなる尺度である(酒井ら,2016).「1.そう思う」~「4.そう思わない」の4件法で回答し,回答順に4~1点を配点する.得点が高いほど,愛着があることを示す.各下位尺度の因子名と本研究におけるCronbachの信頼性係数は,第I因子「生きるための活力の源(5項目,α=0.91)」,第II因子「人とのつながりを大切にする思い(8項目,α=0.92)」,第III因子「自分らしくいられるところ」(5項目,α=0.88)」,第IV因子「住民であることの誇り」(5項目,α=0.90)」で,23項目全体ではα=0.94であった.

2) 関連要因

概念図に基づいて調査項目を設定した.

「生活関連要因」の地域住民との付き合いの程度は,毎年,内閣府が公表している「社会意識に関する世論調査」(内閣府,2012)の質問項目を参照した.「社会関係要因」の望ましい地域住民との付き合いの程度についても,同じく世論調査の項目にて把握した.地域の活動への参加意向は,地域の活動を「地域で行っている教育,子育て,まちづくり,防犯・防災・交通安全,要介護高齢者や障害者支援,健康づくり等の活動」と示した上で,これらの活動への参加意向を把握した.ソーシャル・サポートは,Zimet GDらが開発したソーシャル・サポート尺度の岩佐ら(2007)による日本語版を使用した.本尺度は,信頼性・妥当性が確認されており,家族,大切な人,友人それぞれからのサポートについて,「1.全くそう思わない」~「7.非常にそう思う」の7件法で回答を得るもので,全体および下位尺度ごとに平均値を求めて得点化する.得点範囲は1~7点で得点が高いほどソーシャル・サポートが高いことを意味する.本研究では,「大切な人のサポート」「友人のサポート」(各4項目)の下位尺度を使用し,家族以外の周囲の人(同じ地域に住む人)からのサポートについて把握した.本研究におけるCronbachの信頼性係数は,大切な人のサポートがα=0.97,友人のサポートはα=0.96,8項目ではα=0.97であった.日本語版作成者の承諾を得て使用した.

「健康関連要因」は,健康関連QOL尺度であるSF-8(福原ら,2004)を用いた.本尺度は,8つの下位尺度得点と身体的サマリースコアおよび精神的サマリースコアが算出される.過去1か月間の状態を把握し,国民標準値を50点とした場合のスコアリング法により得点化する.

4. 分析方法

各変数と“地域への愛着”尺度の合計得点および4つの下位尺度得点との関連性を検討した.変数が質的変数の場合はt検定を行い,“地域への愛着”尺度得点の平均値を比較した.量的変数の場合はPearsonの相関係数を算出した.加えて,“地域への愛着”を従属変数とした強制投入法による重回帰分析を行った.多重共線性を避けるため,各変数間の相関係数とVIF(Variance Inflation Factor:分散拡大要因)が2未満であることを確認した.ソーシャル・サポート尺度は,重回帰分析の際には,下位尺度間の相関関係を考慮し,8項目の回答の平均値を用いた.分析は,IBM SPSS Statistics 22を使用し,有意水準は5%未満とした.

5. 倫理的配慮

聖路加看護大学(現聖路加国際大学)研究倫理審査委員会の審査を受けて実施した(2012年12月27日,承認番号:12-064).調査協力における自由意思の尊重,個人情報保護の対応等について依頼文に明記し,質問紙と共に送付した.同意の意思は,質問紙の返送をもって確認した.質問紙は無記名とし,質問紙の郵送に伴う住民の氏名および住所の取り扱いは,B市が行うこととした.

IV. 研究結果

質問紙の回収数は611部(回収率61.1%)であった.本研究では,各変数と“地域への愛着”尺度の合計得点および4つの下位尺度得点との関連性を検討することから,回答に欠損値を含む対象は除外した.有効回答数は461部(有効回答率46.1%)であった.

1. 対象者の概要(表1
表1  対象者の概要(N=461)
項目 平均値±標準偏差(SD 人(%)
性別 男性 221(47.9)
女性 240(52.1)
年齢 50–54歳 60.2±5.5 96(20.8)
55–59歳 91(19.7)
60–64歳 158(34.3)
65–69歳 116(25.2)
通院中の疾患 あり 274(59.4)
なし 187(40.6)
世帯構成 単身世帯 21(4.6)
夫婦世帯 160(34.7)
その他 280(60.7)
仕事 あり 279(60.5)
なし 182(39.5)
居住形態 持家 425(92.2)
賃貸 34(7.4)
その他 2(0.4)
居住年数 0–9年 21.4±12.8 88(19.1)
10–19年 126(27.3)
20–29年 134(29.1)
30–39年 84(18.2)
40年以上 29(6.3)
自治会・町内会の加入 あり 380(82.4)
なし 81(17.6)
自治会・町内会活動への参加(1年以内) あり 266(57.7)
なし 195(42.3)
地域住民との付き合いの程度 よく付き合っている 48(10.4)
ある程度付き合っている 205(44.5)
あまり付き合ってない 162(35.1)
全く付き合っていない 46(10.0)
わからない 0(0.0)
地域のサークル等での趣味活動の経験 あり 163(35.4)
なし 298(64.6)
望ましい地域住民との付き合いの程度 住民全てで困ったときに互いに助け合う 117(25.4)
気の合う住民で困ったときに助け合う 121(26.2)
住民がみんなで行事や催しに参加する 73(15.8)
住民間で世間話や立ち話をする 41(8.9)
住民間であいさつを交わす 89(19.3)
地域での付き合いは必要ない 1(0.2)
わからない 10(2.2)
その他 9(2.0)
地域の活動への参加意向注1) 参加している・参加したい 431(93.5)
参加したいと思わない 30(6.5)
ソーシャル・サポート注2) 平均値 4.3±1.7
大切な人得点 4.5±1.9
友人得点 4.0±1.7
健康関連QOL(SF-8)スコア注3) 身体的サマリースコア:PCS 48.4±7.4
精神的サマリースコア:MCS 49.0±7.0

注1)地域で行っている教育,子育て,まちづくり,防犯・防災・交通安全,要介護高齢者や障害者支援,健康づくり等の活動への 参加意向を把握

注2)ケースごとに各回答の平均値を求めて得点化

注3)過去1か月間の状態を把握し,国民標準値を50点とした場合のスコアリング法により算出

対象者の概要を表1に示した.性別は,男性が221人(47.9%),女性は240人(52.1%)で,平均年齢は60.2(±5.5)歳であった.65歳未満が約7割で,単身世帯の割合は4.6%であった.9割の人が持家に住んでおり,40年未満の居住者がほとんどで,10年未満が約2割であった.自治会・町内会には8割の人が加入し,9割の人が,地域の活動に参加しているか,参加したいと答えていた.地域住民との付き合いの程度も5割が「ある程度」もしくは「よく付き合っている」と回答していた.望ましい付き合いの程度では,約5割の人が困った時に助け合う関わりを挙げていた.ソーシャル・サポート尺度得点は,いずれも4点台を示していた.SF-8のスコアの平均値は,国民標準値の50点をやや下回っていた.

2. “地域への愛着”尺度と各変数との関連

1) 各変数による“地域への愛着”尺度得点の比較(表2
表2  各変数による“地域への愛着”尺度得点の比較(N=461)
項目 合計得点 第I因子
生きるための活力の源
第II因子
人とのつながりを大切にする思い
第III因子
自分らしくいられるところ
第IV因子
住民であることの誇り
n 平均値±SD P 平均値±SD P 平均値±SD P 平均値±SD P 平均値±SD P
“地域への愛着”尺度 461 63.9±13.4 12.1±3.5 22.4±5.3 14.8±3.5 14.6±3.3
性別
男性 221 62.6±13.0 0.052 11.8±3.5 0.097 21.5±5.2 0.002 14.8±3.3 0.694 14.5±3.2 0.539
女性 240 65.0±13.8 12.3±3.6 23.1±5.4 14.9±3.7 14.7±3.4
通院中の疾患
あり 274 63.8±13.0 0.835 12.1±3.6 0.920 22.6±5.2 0.335 14.6±3.4 0.093 14.5±3.2 0.454
なし 187 64.0±14.1 12.0±3.5 22.1±5.5 15.1±3.6 14.8±3.4
世帯構成注1)
単身世帯 21 59.8±17.7 0.289 11.2±3.7 0.275 20.7±7.9 0.332 14.2±3.5 0.441 13.6±4.6 0.310
夫婦世帯・その他 440 64.1±13.2 12.1±3.5 22.4±5.2 14.8±3.5 14.7±3.2
居住形態注2)
持家 425 64.9±12.8 <0.001 12.2±3.5 0.012 22.8±5.1 <0.001 15.1±3.3 <0.001 14.9±3.1 <0.001
賃貸・その他 36 51.8±15.2 10.6±3.9 17.5±5.9 11.9±4.2 11.7±3.8
仕事
あり 279 63.2±13.3 0.161 11.8±3.5 0.078 22.0±5.3 0.076 14.8±3.5 0.766 14.6±3.4 0.523
なし 182 65.0±13.7 12.4±3.6 22.9±5.4 14.9±3.5 14.8±3.1
自治会・町内会の加入
あり 380 65.6±12.8 <0.001 12.4±3.5 <0.001 23.1±5.1 <0.001 15.2±3.3 <0.001 14.9±3.1 <0.001
なし 81 55.9±13.6 10.5±3.3 19.0±5.3 13.2±4.1 13.2±3.4
自治会・町内会活動への参加(1年以内)
あり 266 67.7±13.0 <0.001 12.9±3.6 <0.001 23.9±5.1 <0.001 15.6±3.3 <0.001 15.4±3.1 <0.001
なし 195 58.6±12.1 10.9±3.1 20.3±5.1 13.8±3.5 13.6±3.2
地域住民との付き合いの程度注3)
付き合っている(よく・ある程度) 253 70.3±11.2 <0.001 13.4±3.3 <0.001 25.3±4.0 <0.001 15.9±3.1 <0.001 15.7±2.9 <0.001
付き合っていない(あまり・全く) 208 56.0±11.7 10.4±3.2 18.8±4.6 13.5±3.5 13.3±3.2
地域のサークル等での趣味活動の経験
あり 163 69.8±12.1 <0.001 13.8±3.3 <0.001 24.6±4.6 <0.001 15.8±3.2 <0.001 15.6±3.1 <0.001
なし 298 60.6±13.1 11.1±3.3 21.1±5.3 14.3±3.6 14.1±3.3
望ましい地域住民との付き合いの程度注4)
住民間で世間話をしたり,助け合う 352 66.3±12.9 <0.001 12.6±3.5 <0.001 23.4±5.1 <0.001 15.2±3.5 <0.001 15.2±3.1 <0.001
その他(あいさつを交わす・その他) 109 56.0±12.2 10.5±3.3 19.1±4.9 13.6±3.3 12.8±3.2
地域の活動への参加意向
参加している・参加したい 431 65.0±12.9 <0.001 12.3±3.4 <0.001 22.7±5.2 <0.001 15.0±3.4 <0.001 14.9±3.1 <0.001
参加したいと思わない 30 48.2±11.0 8.1±2.6 17.4±5.1 11.9±4.1 10.8±2.6

t検定

注1)世帯構成は,「単身世帯」と「夫婦世帯・その他」で2群化

注2)居住形態は,「持家」と「賃貸・その他」で2群化

注3)地域住民との付き合いの程度は,「わからない」の回答は除き,付き合いの有無で2群化

注4)望ましい地域住民との付き合いの程度は,意図的な交流として「住民間で世間話や立ち話をする」を基準に,それ以上の関わりとその他に分けて2群化

“地域への愛着”尺度の合計得点では,持家の人(P<0.001),自治会・町内会や地域での活動等,地域の人との関わりがある人(いずれもP<0.001)の得点が高かった.下位尺度では,第II因子のみ性別で有意差があり,女性の得点が高かったが,それ以外は,合計得点とほぼ同様の関連性が認められた.

2) “地域への愛着”尺度得点と各変数の相関係数(表3
表3  “地域への愛着”尺度得点と各変数の相関係数(N=461)
項目 合計得点 第I因子
生きるための活力の源
第II因子
人とのつながりを大切にする思い
第III因子
自分らしくいられるところ
第IV因子
住民であることの誇り
r P r P r P r P r P
年齢 0.07 0.132 0.06 0.184 0.10 0.032 –0.02 0.715 0.08 0.101
居住年数 0.28 <0.001 0.18 <0.001 0.33 <0.001 0.21 <0.001 0.20 <0.001
ソーシャル・サポート
平均値 0.47 <0.001 0.39 <0.001 0.49 <0.001 0.37 <0.001 0.33 <0.001
大切な人得点 0.42 <0.001 0.34 <0.001 0.43 <0.001 0.35 <0.001 0.29 <0.001
友人得点 0.47 <0.001 0.40 <0.001 0.50 <0.001 0.35 <0.001 0.33 <0.001
健康関連QOL(SF-8)スコア
身体的サマリースコア:PCS 0.05 0.253 0.02 0.965 0.02 0.737 0.09 0.061 0.10 0.036
精神的サマリースコア:MCS 0.19 <0.001 0.10 0.028 0.21 <0.001 0.15 0.001 0.18 <0.001

Pearsonの相関係数

“地域への愛着”の合計得点と量的変数との関連では,居住年数とソーシャル・サポート尺度の各得点で,いずれも有意な関連があり(P<0.001),SF-8の精神的サマリースコア(P<0.001)においても有意な正の相関関係が認められた.下位尺度との関連では,第IV因子のみでSF-8の身体的サマリースコアとの関連が見られたが,その他は合計得点とほぼ同様の相関関係が認められた.

3. “地域への愛着”尺度を従属変数とした重回帰分析(表4
表4  “地域への愛着”尺度を従属変数とした重回帰分析(N=461)
項目 合計得点 第I因子
生きるための活力の源
第II因子
人とのつながりを大切にする思い
第III因子
自分らしくいられるところ
第IV因子
住民であることの誇り
β P β P β P β P β P
【個人属性要因】
性別(男性=1) 0.077 0.046 0.104 0.018 0.005 0.885 0.118 0.010 0.070 0.122
年齢 –0.042 0.275 –0.027 0.527 –0.026 0.472 –0.096 0.035 0.003 0.944
通院中の疾患(あり=1) –0.032 0.379 –0.036 0.375 0.014 0.675 –0.074 0.082 –0.035 0.398
世帯構成(単身世帯=1) –0.048 0.167 –0.054 0.169 –0.051 0.122 –0.008 0.836 –0.047 0.247
仕事(あり=1) –0.028 0.472 –0.046 0.294 –0.019 0.605 –0.031 0.501 –0.001 0.987
【生活関連要因】
居住形態(持家=1) 0.079 0.034 –0.045 0.288 0.078 0.027 0.122 0.006 0.115 0.008
居住年数 0.138 <0.001 0.071 0.087 0.163 <0.001 0.127 0.003 0.089 0.035
自治会・町内会への加入(あり=1) 0.071 0.086 0.043 0.358 0.095 0.016 0.054 0.273 0.033 0.492
自治会・町内会活動への参加(1年以内)(あり=1) 0.057 0.185 0.068 0.160 0.030 0.465 0.059 0.244 0.048 0.331
地域住民との付き合いの程度(よく・ある程度付き合っている=1) 0.224 <0.001 0.152 0.002 0.318 <0.001 0.105 0.038 0.124 0.013
地域のサークル等での趣味活動の経験(あり=1) 0.130 0.001 0.241 <0.001 0.079 0.028 0.076 0.090 0.062 0.159
【社会関係要因】
望ましい地域住民との付き合いの程度(立ち話をしたり助け合う=1) 0.131 <0.001 0.098 0.020 0.140 <0.001 0.043 0.320 0.155 <0.001
地域の活動への参加意向(参加している・参加したい=1) 0.120 0.001 0.162 <0.001 0.043 0.213 0.078 0.070 0.162 <0.001
ソーシャル・サポート平均値 0.296 <0.001 0.236 <0.001 0.270 <0.001 0.289 <0.001 0.209 <0.001
【健康関連要因】
健康関連QOL(SF-8:身体的サマリースコア) 0.049 0.167 –0.008 0.843 0.025 0.487 0.082 0.051 0.081 0.048
健康関連QOL(SF-8:精神的サマリースコア) 0.082 0.023 0.017 0.670 0.109 0.002 0.069 0.106 0.068 0.106
F=26.88 <0.001 F=15.01 <0.001 F=33.06 <0.001 F=11.29 <0.001 F=12.76 <0.001
R=0.701 R=0.352 R=0.737 R=0.538 R=0.561
調整済みR2=0.474 調整済みR2=0.328 調整済みR2=0.527 調整済みR2=0.264 調整済みR2=0.290

強制投入法,β=標準偏回帰係数,R=重相関係数,R2=決定係数

注)重回帰分析の際,独立変数は次のとおり数値化して投入した:性別(男性=1,女性=0),通院中の疾患(あり=1,なし=0),世帯構成(単身世帯=1,夫婦世帯・その他=0),仕事(あり=1,なし=0),居住形態(持家=1,賃貸・その他=0),自治会・町内会への加入(あり=1,なし=0),自治会・町内会活動への参加(1年以内)(あり=1,なし=0),地域住民との付き合いの程度(よく・ある程度付き合っている=1,あまり・全く付き合っていない=0),地域のサークル等での趣味活動の経験(あり=1,なし=0),望ましい地域住民との付き合いの程度(立ち話をしたり助け合う=1,あいさつを交わす・必要ない・わからない・その他=0),地域の活動への参加意向(参加している・参加したい=1,参加したいと思わない=0),多重共線性を避けるため,ソーシャル・サポートは各回答の平均値を投入

1) “地域への愛着”尺度合計得点に関連する要因

概念図に基づいて,関連要因を検討した結果,合計得点と関連があった変数は,個人属性要因では「性別(β=0.077,P=0.046)」,生活関連要因では「居住形態(β=0.079,P=0.034)」「居住年数(β=0.138,P<0.001)」「地域住民との付き合いの程度(β=0.224,P<0.001)」「地域のサークル等での趣味活動の経験(β=0.130,P=0.001)」,社会関係要因は「望ましい地域住民との付き合いの程度(β=0.131,P<0.001)」「地域の活動への参加意向(β=0.120,P=0.001)」「ソーシャル・サポート平均値(β=0.296,P<0.001)」,健康関連要因は「SF-8:精神的サマリースコア(β=0.082,P=0.023)」であった(調整済みR2=0.474,F=26.88,P<0.001).

2) “地域への愛着”の下位尺度に関連する要因

各下位尺度のいずれとも関連が認められた要因は,生活関連要因の「地域住民との付き合いの程度」と社会関係要因の「ソーシャル・サポート平均値」であった.その他の要因については,第I因子では,性別,地域のサークル等での趣味活動の経験,および社会関係要因の各変数と有意な関連が認められた.第II因子では,居住形態,居住年数や自治会・町内会への加入等で関連があり,第II因子のみ健康関連要因であるSF-8の精神的サマリースコアと関連があった.第III因子では,性別・年齢,居住形態,居住年数との関連が認められた.第IV因子でも,居住形態,居住年数の他,望ましい地域住民との付き合いの程度や地域の活動への参加意向等で関連が見られた.また,健康関連要因の身体的サマリースコアとの関連が認められた.各因子の重回帰分析における決定係数は,第III因子が最も低く(調整済みR2=0.264,F=11.29,P<0.001),第II因子が最も高かった(調整済みR2=0.527,F=33.06,P<0.001).

V. 考察

1. 対象者の特性

本研究の対象者は9割が持家であったが,B市が新興住宅地化した1970年代以降に順次,居住した人がほとんどであった.地域住民とある程度以上,付き合っていると答えた人は5割を示した.本研究と同時期の2013年1月に内閣府(2012)が行った社会意識に関する世論調査では,50歳以上の7割を超える人が「ある程度」または「よく」付き合っていた.地域住民との望ましい付き合いの程度も7割が住民全てまたは気の合う住民同士で助け合うと答えており,本研究の対象者よりも割合が高かった.また,ソーシャル・サポートの「大切な人」「友人」の得点も岩佐らの調査(岩佐ら,2007)では,58~64歳の中年群で男性は「大切な人」5.8(±1.1)点,「友人」が4.8(±1.5)点,女性は順に6.1(±0.9)点,5.2(±1.3)点で,いずれの値も本研究の対象者の方が低かった.世論調査(内閣府,2012)と比較すると,本研究の対象者は,地域の人との関わりが相対的に低い割合を示す傾向があった.ソーシャル・サポートは,同じ地域に住む周囲の人について回答を得たため,想起された該当者の範囲が狭まった可能性が考えられる.いずれにしても,地域内において,サポートを期待できる付き合いがあまりない人が少なからず含まれる集団であったと考える.

自治会・町内会の活動に関しては,1年以内に参加した人の割合は6割程度であったが,地域活動への参加意向は9割の人が参加しているか,参加を希望していた.機会があれば,何かしらの地域活動に参加したいと考えている人が比較的いる地域であることも推察された.

2. “地域への愛着”の関連要因

“地域への愛着”尺度の合計得点は,重回帰分析において,個人属性要因の「性別」,生活関連要因の「居住形態」「居住年数」「地域住民との付き合いの程度」「地域のサークル等での趣味活動の経験」,社会関係要因の「望ましい地域住民との付き合いの程度」「地域の活動への参加意向」「ソーシャル・サポート」,そして「健康関連QOL」の精神的サマリースコアとの関連が認められた.中でも,「地域住民との付き合いの程度」と「ソーシャル・サポート」は,全ての下位尺度得点とも関連があり,「ソーシャル・サポート」の影響度が全体的に大きかった.

カーピアーノ(2008)がソーシャル・キャピタルの健康への影響を示した概念モデルでは,近隣への愛着をソーシャル・キャピタルと健康に介在する要因として位置づけている.「ソーシャル・サポート」は,概念モデルにおいて,ソーシャル・キャピタルのリソースの一つとして挙げられている要因である.「ソーシャル・サポート」,「地域への愛着」,「健康」との関連性が示された本研究の結果は,カーピアーノの概念モデルにつながるものであったと考える.

また,カーピアーノの概念モデルでは,ソーシャル・キャピタルと近隣への愛着に影響を与える要因として,社会凝集性を挙げている.「地域住民との付き合いの程度」は,地域との関わりに対する意識・態度の表れであり,社会的凝集性に関わる要因と考えられる.本研究では,要因間の詳細な関連性の検討は行っていないが,“地域への愛着”は,地域の住民同士の関わりと健康との関連性において,相乗的効果をもつ介在要因として関与する可能性が示唆された.

一方で,健康指標との関連は,相関関係の分析では,精神的サマリースコアは全て尺度と関連していたが,重回帰分析においては,下位尺度は,「人とのつながりを大切にする思い」である第II因子と精神面の関連,「住民であることの誇り」である第IV因子と身体面の弱い関連が示されたのみであった.「人とのつながりを大切にする思い」は,人に対する信頼に通じるものである.良好な地域住民同士の交流は,精神的健康を促進することが期待できる.身体面の健康との関連については,今後,さらなる関連性の追求や因果関係の検討が必要である.

「居住形態」や「居住年数」,「地域のサークル等での趣味活動の経験」,および「望ましい地域住民との付き合いの程度」も3つの下位尺度得点と関連を示した.

居住形態や居住年数は,これまでの先行研究でも地域への愛着との関連が確認されている(引地ら,2005原田ら,2013乾ら,2014).一方で,引地ら(2005)は,地域に対する愛着形成には,居住年数よりも「集団に対する肯定的な印象」のほうが大きな影響を与えると報告している.乾ら(2014)は,「選考」「感情」「持続願望」の3つの下位尺度からなる愛着尺度(萩原ら,2005),を用いて調査を行い,「自分の居場所がある気がする」「自分のまちだという感じがする」などの項目を含む「感情」の下位尺度得点のみ居住年数との関連を示したと報告している.本研究において,居住年数は,“地域への愛着”尺度の合計得点および第II因子,「自分らしくいられるところ」と命名した第III因子との関連が強かった.本研究の居住年数と“地域への愛着”尺度との関連は,居住年数の長さのみならず,その地域で暮らす中で培われた人とのつながりや,地域の人への信頼,地域に対する帰属意識が反映されているのではないかと推察する.

「地域のサークル等での趣味活動の経験」は,ある人ほど“地域への愛着”得点が高かった.豊田(2013)は,地域への愛着と地域の人との「交流意識」に関連があることを指摘している.地域での趣味活動は,日常生活の中での地域の人との接触の機会を増やし,人との交流が図られることで,愛着につながることが考えられる.

「望ましい地域住民との付き合いの程度」でも,“地域への愛着”の得点が高い人ほど,困った時に助け合うことを望ましいと考えていた.共通利益のための近隣住民間の社会的なつながりが強い地域では,信頼関係に基づくネットワークが存在し,居住地への愛着を抱いているとの報告(Brown et al., 2003)もある.本研究の対象地域では,地域住民と付き合っている割合が相対的に低く,関わりの機会があまりない人も一定数いることが想定された.また,居住年数が10年未満の人も2割おり,40歳代以降で転居した人を含むことになる.“地域への愛着”尺度は,「地域の活動への参加意向」とも関連が見られ,ほとんどの人が参加意向を示した.現在,地域との関わりがあまりない人でも,本研究で例示した地域への貢献にもつながる活動の参加をきっかけに,地域に対する関心や愛着を高められる可能性も考えられる.

“地域への愛着”尺度と性別との関連について赤塚ら(2016)は,地域への関心や愛着を把握する尺度として「地域コミットメント」尺度を用いて検討しているが,性差のある可能性は指摘しながらも,明確な関連を示す結果は得られていない.本研究においては,重回帰分析で,第I因子と第III因子との弱い関連が見られたが,性別以上に他の要因による影響度が大きいことが推察された.今後,要因間のさらなる関係性の検討が必要である.

3. “地域への愛着”の保健事業での活用の方向性

本研究の対象者は,居住年数が比較的短く,地域住民との付き合いがあまりない人が少なからず含まれており,他の大都市近郊においても同様の傾向があると推察される.また,地域の活動への参加意向は高く,内閣府(2012)の調査でも,向老期世代は社会への貢献意識が比較的高いことから,社会に対する意識が高い年代とも言える.

大都市近郊における向老期世代では,地域の活動での住民同士の定期的な協働は,参加者同士の関係づくりや,助け合いの機会をもたらし,「生きるための活力の源」や「住民であることの誇り」,「自分らしくいられるところ」という居住地に対する愛着の感覚を育み,地域の人への信頼や帰属意識が高まることが考えられる.これらの愛着の感覚とともに,精神面での安定や健康な状態が近隣との良好な関係維持を図り,「人とのつながりを大切にする思い」が強まることでさらに地域を意識する可能性も示唆される.

“地域への愛着”の概念を取り入れた保健事業として,地域の活動に参加したことのない住民も含め,参加のきっかけとなる地域への関心や地域貢献に関わる企画が有用と考える.住民同士の定期的な協働を取り入れた活動の展開により,人との関わりや地域への関与が促進され,地域への愛着の醸成が図られる.地域への愛着の醸成は,さらなる交流や活動の動機づけとなり,心身の健康維持につながる可能性も想定され,相乗効果が期待される.

4. 本研究の限界と今後の課題

本研究は,首都圏近郊都市部の一地域の向老期世代を対象に行ったものであり,“地域への愛着”と他の要因および健康指標が,異なる地域によりどのような特性を示すのかは明らかにしていない.今後,多様な特性をもつ地域にて,調査の積み重ねが必要である.また,地域への愛着の概念を活用した保健事業の展開において,地域への愛着は,他の要因との相乗的な効果も想定される.介入効果の変化を経時的に追い,定量的,定性的に検討することも必要である.

VI. 結語

“地域への愛着”には,性別,居住形態や居住年数,地域の人との付き合いや交流,ソーシャル・サポート等および,健康指標との関連が確認された.“地域への愛着”の概念を取り入れた保健事業を展開することで,日頃の住民同士の付き合いや交流の機会の強化を図り,“地域への愛着”の4因子につながる認識を醸成することで,健康に関連する他の要因と相乗的に作用し,向老期からの健康維持や地域づくりに寄与する可能性が示唆された.

謝辞

本研究にご協力いただきましたA県B市の住民の皆様に感謝申し上げます.また,調査の実施にあたりご協力・ご尽力いただきましたB市の皆様,戸田亜紀子様,三笠幸恵様,小林真朝様,小野若菜子様,宮崎紀枝様,安齋ひとみ様に深く感謝申し上げます.

本研究は,科学研究費補助金基盤研究(B)の助成を受けて実施した(MEXT KAKENHI Grant Number: 22390447).

開示すべきCOI状態にない.

文献
 
© 2018 Japan Academy of Public Health Nursing
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