日本形成外科学会会誌
Online ISSN : 2758-271X
Print ISSN : 0389-4703
原著
人工物を用いた乳房一次一期再建の有用性~医療費の観点から~
佐々木 正浩田村 文一相原 有希子佐々木 薫大島 純弥渋谷 陽一郎川口 謙太郎吉武 彰子関堂 充
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2023 年 43 巻 1 号 p. 1-5

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抄録

 序論:人工物を用いた乳房一次一期再建は,医療費や入院期間などの患者負担に関しては不明な点が多い。今回われわれは,患者負担の観点から調査・検討した。
 方法:当院で乳頭乳輪温存乳房切除術(NSM)後にシリコーンブレストインプラント(SBI)を用い一次一期再建(P1)を施行した13症例に関して入院医療費,入院期間などを調査した。対照としてNSM後の一次二期再建(P2)10症例に関しても調査した。
 結果:入院医療費はP1平均1,067,732円,P2平均1,681,579円,入院期間はP1平均9.5日,P2平均18.0日であった。
 考察:入院医療費はP1とP2で約61万円の差があり,P1は患者負担が少ないと考えられた。一方で人工物による乳房一次再建点数の半額算定など,形成外科,医療機関にとってのP1の欠点も明らかになった。
 結論:人工物を用いたP1はP2と比較し,患者の入院・外来医療費,入院期間などの負担が少ない術式であった。しかし現状では無細胞化ヒト真皮基質の使用制限や人工物による乳房一次再建点数の半額算定などが障壁と考えられた。

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