日本形成外科学会会誌
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短報
当院における低出生体重児乳児血管腫のプロプラノロール塩酸塩内服治療の経験
野村 麻衣羽多野 隆治出口 綾香藤川 平四朗前田 周作藤井 奈穂菱川 美紀水田 栄樹元村 尚嗣
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2023 年 43 巻 3 号 p. 127-133

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抄録

 序論:近年,わが国でも乳児血管腫(infantile hemangioma,以下IH)に対するプロプラノロール塩酸塩のシロップ製剤(へマンジオル®シロップ,以下PPL)の内服治療が一般化しているが,低出生体重児の使用に関する報告は少なく,明確な治療プロトコールや安全性が確立していない。今回われわれは,低出生体重児のIHに対しPPL内服加療を行い,有害事象なく良好な治療効果を得たので報告する。
 方法:2018年11月から2021年10月までに当科で乳児血管腫と診断された症例のうち,低出生体重児で,機能障害,整容的問題,潰瘍化の危険性があり,PPLの治療適応と判断したものを対象とした。PPLは原則1mg/kg/day・分2から開始し,2日ごとに漸増し,維持量は2mg/kg/day・分2とした。
 結果:4例全例で合併症を認めず,腫瘍の縮小を認めたが,一部腫瘍の残存も認めた。
 考察と結論:低出生体重児においてもPPL内服治療は比較的安全な治療方法である可能性がある。IHの発症頻度が高い低出生体重児のPPL内服治療の経験を蓄積し,より安全かつ有効な標準治療を確立させていく必要がある。

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