日本形成外科学会会誌
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Print ISSN : 0389-4703
創意・工夫
眼窩底欠損に対する3Dモデルを利用した自家骨移植の1例 -二重橋渡し法-
佐藤 純輝田村 聡村上 昇太吉川 滉一石原 有佳子倉田 まりな土屋 壮登會沢 哲士東 隆一
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2024 年 44 巻 8 号 p. 353-362

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抄録

 背景:複雑な骨折を伴う顔面外傷や腫瘍切除による広範な骨欠損以外で,手術に3Dモデルを利用することは少ない。定型的な手術方法が困難であった術後性上顎嚢胞による眼窩底欠損に対する骨移植で,新たに二重橋渡し法を考案し,3Dモデルを利用して術前・術中にシミュレーションを行った。
 手術方法:術前に1mmスライスで撮影したCT画像をもとに3Dモデルを作製し,これを用いてチタンプレートや移植する骨の形状を推測した。手術の際に滅菌した3Dモデルを手術室に持ち込み,実際に使用する2本のチタンプレートと移植骨を3Dモデルに設置しながら形状の加工を行い,良好な形態を再現してプレート固定と骨移植を行った。
 結果:術直後から眼球運動障害,眼球陥凹ともに認めず,術後3ヵ月経過しても経過は良好であった。
 結語:二重橋渡し法という非定型的な骨移植を3Dモデルを活用して行い,良好な眼窩形態を得ることができた。

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