日本産業保健理学療法学雑誌
Online ISSN : 2758-4798
巻頭言
日常業務と研究活動
井元 淳
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2024 年 2 巻 1 号 p. 1

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令和6年能登半島地震でお亡くなりになられた方々に心よりお悔やみを申し上げますとともに、被災された皆様に心よりお見舞い申し上げます。

皆さんは、研究活動は十分に行えていますか?満足した研究活動が実施できていますか?

アイデアはあっても日ごろの業務に追われて、という言い訳を重ねながら(私自身の心の声でもありますが)、日々を過ごしていらっしゃる方も多いかもしれません。学会に参加した後は、自分も頑張らないといけないという気持ちが強くなるものの、しばらくするとその気持ちが小さくなってしまっている方もまた多いかもしれません。本雑誌を手に取られている方、今、読もうとされている方は研究活動に興味がある方が多いと思います。しかしながら、実際に研究活動を行おうとすると、いろいろな障壁が立ちはだかります。それは時間もそうですし、他にも研究を実施するうえで必要なリソース(自分自身の能力、研究フィールド、機器、施設、資金、統計や文献整理のソフトなど)の不十分さもあるかと思います。そして、それ以上に自分自身の中で無意識的に自分の限界といったフィルターをかけてしまい、自分がやりたいと思っていることよりも、日常業務としての「今、やらないといけないこと」が頭の中を占めてしまうことも大きいかと思います。

そこでふと立ち返って、研究は何のために行うのでしょうか?社会的意義としてはもちろん、社会に対して新しい知見を提供することになりますが、研究活動へのモチベーションを高めるためには個人的要因が大きいかもしれません。私自身は身近な人が学会発表や論文投稿などで頑張っている姿を見ることが自分自身への励みに繋がっていますが、他にも周囲から認めてもらった、論文として形に残った、など人によって様々あろうかと思います。大事なのは忙しい日常業務の中でもそのような気持ちを忘れないことだと思います。

日本産業保健理学療法学雑誌は医療・社会福祉の充実に寄与できるよう産業保健分野における理学療法の専門性を高めるため、産業理学療法の学術領域の研究成果の公表や情報交換、また共有を行うことを目的とした学術誌です。少しずつ投稿数も増えてきているところですが、皆さんが産業保健領域で経験していることはもっと多くあると思いますし、もっと社会・世間にアピールできるものがあると思います。ぜひ皆さんが経験したこと・実践したことを本雑誌にご投稿いただき、その経験を共有していただくとともに、論文として形になったという達成感を今後の研究活動へのモチベーションの向上に繋げていただければと思います。

また日本産業保健理学療法学雑誌には自分自身が専門としている領域に直結しない論文もあるかもしれません。それらに目を通すことで、自分自身の研究のアイデアの参考に、また自分の研究を前に進める一助になるかもしれません。ぜひ本雑誌が多くの目に触れていただけることを期待しています。

(日産保理誌,2(1):1‒1,2024)

 
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