日本小児呼吸器疾患学会雑誌
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肺梗塞にて死亡した単心房単心室の1例
肺梗塞症の本邦小児例のまとめを含めて
田村 一志田端 雅彦志村 幸恵小林 徹手島 絵吏香大木 康史桑島 信竹内 東光
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1999 年 10 巻 2 号 p. 105-112

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抄録

肺梗塞をきたした, 単心房単心室の症例を経験した.症例は19歳女性.2歳時に, Blalock-Taussig shunt (BTシャント) 手術施行.19歳時, 左下腿打撲を契機として, 蜂窩織炎となり敗血症, DICをきたし, 肺梗塞により死亡した.小児における肺梗塞の発症は, 過去の報告の集計では, 原因疾患として, 先天性心疾患や心疾患を含めた手術後, 感染症が多かった.また, 死亡例では, 過去に示された肺梗塞の危険因子が複数存在した.本症例は, 先天性心疾患や感染, 外傷を合併し, 右心系の血流の欝滞等がみられ, 既に知られている肺梗塞の危険因子が複数存在したことを考えれば, 病初期からの抗凝固療法の他, 血栓融解療法を開始する必要があった可能性が考えられた.今後, 肺梗塞の危険因子が複数存在する例では, 全身状態や出血傾向, 血栓等の精査を繰り返し行い, 治療を考えていくことが重要であろう.

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