日本小児呼吸器疾患学会雑誌
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胃食道逆流, 嚥下協調障害を伴う反復性呼吸器感染症に対する総合治療の試み
湯原 幸弘重田 誠清水 信三臼田 由美子鈴木 則夫畠山 信逸望月 博之
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1999 年 10 巻 2 号 p. 89-98

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抄録

胃食道逆流や嚥下協調障害を伴う反復性呼吸器感染症の児に対して, 薬物療法, 理学療法, 嚥下摂食指導, 外科的治療などを総合的に行い, その治療反応性について検討を行った.
対象は, 群馬県立小児医療センターに通院, ならびに入院中の反復性呼吸器感染症の患児のうち, 胃食道逆流あるいは嚥下協調障害を伴った14例 (男児9例, 女児5例) で, 胃食道逆流のみ7例, 嚥下協調障害のみ3例, 両者合併4例であった。診断は, 上部消化管造影, 喉頭ファイバー, 胃食道シンチグラフィ, 24時間食道pHモニタリング, 食道内圧測定, 胃食道内視鏡などを行った。治療は, 嚥下協調障害には, 医師, 看護婦, 理学療法士, 栄養士が, 個々の症例について, 摂食方法. 食事内容などを検討し, 摂食を実施した。また, 家族に対し, パンフレットなどを作成し, 積極的に指導を行った。胃食道逆流に対しては, 体位療法や制酸剤, 消化管機能改善剤等の薬物療法を行い, 不応例には外科的治療を行った。また, 合併する気管支喘息などに対しては, 適宜その治療及び予防を行った。
14例中13例で, 反復性呼吸器感染症の頻度が低下した。頻度が不変の1例は治療開始後に急性脳症に罹患した例であった。胃食道逆流, 嚥下協調障害を伴う反復性呼吸器感染症に対しては, 医師, 看護婦, 理学療法士, 栄養士などを含めた総合的な治療体制が必要と思われた。

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