日本小児呼吸器疾患学会雑誌
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胎児期から経過を観察できた先天性肺嚢胞症の2例
横山 美貴小太刀 康夫五石 圭司五十嵐 隆菊地 昭彦
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2003 年 14 巻 1 号 p. 23-29

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抄録
胎児期から出生前後にわたり肺病変の変化を観察できた肺嚢胞症二例を経験した。【症例1】 (胸郭内) 肺葉外肺分画症。在胎26週以降胎児エコー検査にて, 左下肺野に内部に複数の嚢胞と血流豊富な太い血管を含む腫瘤が認められた。妊娠後期から出生後腫瘤は急速に縮小し, 出生後の呼吸状態には影響しなかった。【症例2】区域気管支閉鎖症。在胎24週以降右肺のエコー輝度の上昇と右肺容積の著明な増加を認めていた。胸部X線写真上, 出生直後には右中肺野に大きな斑状影が認められたが, その後同部は徐々に過膨張となった。高エコー輝度と斑状影の成因として気管支閉鎖のための肺胞液の貯留と肺浮腫を考えた。
先天性肺疾患の診断において, 経時的な胎児エコー検査は腫瘤の性状・異常動脈の有無.肺容積などを描出でき非常に有用であった。また, 出生時の呼吸機能予測も可能となり, 適切な周産期管理と外科的処置の時期決定が行えた。
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