抄録
縦隔気腫が嚢胞状陰影を呈した新生児2例を経験した。【症例1】日齢1の女児。正常分娩, AFDとして出生。著明な羊水混濁を認めた。出生後, 鼻翼呼吸を認めた。日齢1, 突然陥没呼吸が出現, 胸部X線写真上, 右気胸と縦隔気腫を認めた。CT検査にて右上縦隔に内部に隔壁をもつ円形の嚢胞状陰影を認めた。胸腔ドレーンを留置し呼吸状態は徐々に安定した。生後2週に行った画像検査にて嚢胞状陰影は消失しており, 縦隔気腫の診断となった。【症例2】日齢0の男児。早期産, 低出生体重児。羊水過少が進行したため帝王切開にて出生。出生直後, 呼吸音減弱・呻吟を認め人工呼吸器管理となった。胸部X線写真上, 右気胸と左上肺野の陰影内に内部に隔壁をもつ嚢胞状構造が認められた。経過観察にて, 嚢胞状の陰影は徐々に消失し, 縦隔気腫の診断となった。今回経験した2症例より, 新生児では縦隔間質結合組織が疎で, 漏出した空気量・圧が増すと縦隔気腫は円形で嚢胞状に見えることが示唆された。