喘息によって代表される気道過敏性が上下気道のアレルギー性炎症を引金として成立することを, 著者らの成績を混えながら内外の研究成績を引用して解説した。とくに強調した点は, 局所的炎症の持続と増悪が自律神経反射経路の過剰刺激となり, 中枢である迷走神経背側核・網様体の刺激閾値の低下を招き, 迷走神経の過剰反応を惹起し, また容易に心理的過剰反応を起す素地を醸成することである。
従って, 治療目標は上下気道 (とくに上気道) の炎症緩和, ウイルス感染の回避あるいは可急的早期の治療, あるいは鍛練による局所的並びに全身的循環状態の改善に置かれるべきである。