抄録
症例の概要 : 患者は71歳の女性, 不適切な唇舌的位置に埋入された上下顎前歯部インプラントの違和感および審美性の改善を希望して来院した. 上顎にはテレスコープクラウンを, 下顎には磁性アタッチメントを応用したインプラント支台オーバーデンチャーを作製した. 以後5年以上経過しているが, 良好な状態を維持している.
考察 : テレスコープクラウンを用いた場合, 作用する応力が過大になりやすいが, 咬合や適合の修正を細かく行うことによって対応しており, 今のところ問題は起こっていない.
結論 : 埋入位置が不良なインプラントに対し, オーバーデンチャーによりインプラントの撤去や再埋入することなく違和感や審美性を改善することができた.