日本補綴歯科学会雑誌
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Mandibular Kinesiographの原理とその忠実性について
三谷 春保山下 敦井上 宏
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1977 年 21 巻 2 号 p. 254-264

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抄録
測定精度の一般的特徴として, 各方向の移動距離の忠実性はその運動が大きくなればそれだけ大きな誤差となる. しかし, 我々が目的とする顎運動路の観察は限界運動路よりむしろより機能的な運動動態の解明にあるので, 咬合位付近の運動ほど忠実性がある本装置の特徴は我々の研究目的にマッチしているものと思われる.
1. 本装置の分解能は0.5mmであつた.
2. sensorとマグネットとを結ぶ軸上でマグネットが移動する場合, 各sensorとも1cmまでに直線性を有するが, 2.5cm移動でvertical+2mm, ant-postで+2mm, lateralで±1mmであつた.
3. 3次元的なマグネット移動時の直線性は補正されていないため, 矢状面, 前頭面上での描記特性は特有の歪を示し, マグネットの移動量が大きくなるほど, その歪みは大きくなつた.
4. 差動型であるlateral sensorはマグネットが軸上を移動する場合も, 軸上から偏位した場合も, verticalsenorやant-post sensorよりもその忠実性がきわめてすぐれていた.
5. 下顎運動の速度波形をえるための本装置の微分器は200mm/secまでは正確に測定できるが, それ以上のスピードでは波形に歪をきたした.
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© 社団法人日本補綴歯科学会
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