日本補綴歯科学会雑誌
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補綴学的水平基準面に関する研究
トランスファーされる歯列模型との位置的関係
石上 也澄志小出 馨旗手 敏
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2001 年 45 巻 1 号 p. 161-172

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抄録
目的: フェイスボウ・トランスファーを行う際には, 水平基準面を利用して, 患者の自然頭位をトランスファーできることが望ましいと考えられる. この際に用いられる基準平面は各種存在するが, それらによって咬合器上にトランスファーされる歯列模型の咬合平面傾斜度と付着位置への影響について明らかにすることである.
方法: 被験者100名に対して, 後方基準点を平均的顆頭点とし, 前方基準点を (1) 内眼角から23.3mm下方の点 (以下C).(2) 内眼角と鼻翼下縁の中間点 (以下M),(3) 上顎中切歯切縁から43mm上方の点 (以下1),(4) 眼窩下点 (以下0) とした4つの基準平面を選択し, 各々の基準点に鉛玉等を貼付したうえで, セファログラムを撮影し, 各基準平面をトレースし, 各基準平面に対する咬合平面の角度や上顎中切歯切縁の座標を求め, 比較検討を行った.
結果: 各基準平面に対する咬合平面の角度や, 上顎中切歯切縁の座標はいずれもC, MおよびIを通る基準平面での値が近似しており, 0を通る基準平面はほかに比べて大きく異なった値となった.
結論: C, MおよびIを前方基準点とした基準平面でフェイスボウ・トランスファーを行った場合, 歯列模型の付着位置は近似したものとなるが, 臨床的な考察より, Cが自然頭位をトランスファーするのに適していることが示唆された.
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