日本補綴歯科学会雑誌
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シリコーン系軟質裏装材リライニング面の表面粗さに関する検討
服部 克彦
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2002 年 46 巻 5 号 p. 738-747

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抄録

目的: シリコーン系軟質裏装材を用いたリライニングにおいて, 直接法と間接法における表面粗さの比較を行い, 石膏および分離剤がリライニング面に及ぼす影響を検討する.
方法: アクリル板をシリコーン印象材にて印象採得後, 3種類の石膏を注入して試料を作製し, 3種類の分離剤を塗布後, 軟質裏装材を貼付し試料とした. 非接触三次元測定装置を用いてアクリル板, 印象面, 分離剤塗布前後の石膏面, 軟質裏装材の表面粗さを計測し, 石膏および裏装材はSEM観察を行った. 下顎全部床義歯装着者21名に対し, 2種類の軟質裏装材を用いて直接法および間接法にてリライニングを行い, 直接法では裏装面, 間接法では印象面, 分離剤塗布前後の模型面, グレーズ剤塗布前後の裏装面について表面粗さの計測を行った.
結果: 1.分離剤塗布前の各石膏表面粗さには有意差は認められず, 分離剤塗布後は塗布前と比較して有意に粗さが減少した.2.軟質裏装材の表面粗さは普通石膏にワセリンを塗布した群がほかと比較して有意に小さな値を示した.3.間接法の表面粗さは直接法より有意に大きな値を示した.4.間接法の表面粗さはグレーズ剤の利用により直接法と比較して有意に小さな値を示した.
結論: 間接法の裏装面は石膏や分離剤による影響を受けるため, 直接法より表面粗さは大きくなることが示されたが, 間接法の面にグレーズを塗布することにより直接法より滑沢な裏装面を獲得できる可能性が示された.

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