日本補綴歯科学会雑誌
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歯冠部歯質が失われた支台歯のマージン形態が破折強度および破折様相に及ぼす影響
大塚 真範
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2005 年 49 巻 1 号 p. 74-83

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抄録

目的: 歯冠部歯質0mmの条件における破折強度の向上に, マージン形態がどのような意味をもつかを明らかにすること.
方法: 牛歯168本を複製模型のヒト上顎前歯歯根形態と同一に倣い加工して試料とした. この試料にマージン形態5種類, 築造材料3種類, 歯冠部歯質量2種類の合計16条件について破折試験を行い, 破折強度と破折様相を検討した. また6条件について, 30万回の繰り返し荷重を37℃の水中で負荷した条件と, 同繰り返し荷重に要する時間だけ水中浸漬した条件についても同様の試験を行った.
結果: 各種マージン形態のうち, 鋳造金属によって支台築造した場合は, 小さなショルダーを付与したショルダー型およびべベルドショルダー型が高い破折強度を示し, 歯冠部歯質0mmであっても1mmのときと同等の破折強度を示した. シャンファー型とショルダー型の破折強度は十分でなかった. しかし, シャンファー型マージンの築造体に補助的な保持装置であるピンを付与すると破折強度は有意に向上し, 歯冠部歯質1mmに匹敵する破折強度を示した. しかし, 鋳造金属によって支台築造した場合はべベルやショルダーの有無にかかわらず主に破折様相CまたはDを示し, 再修復の困難な破折様相を示した.
結論: 歯冠部歯質0mmの支台歯の修復後の破折強度を高めるには, ベベルドショルダー型あるいは小さなショルダーを付与したショルダー型を形成することが有効である.

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