日本補綴歯科学会雑誌
Online ISSN : 1883-177X
Print ISSN : 0389-5386
ISSN-L : 0389-5386
新製法によるオールセラミッククラウン
第1報
柿本 和俊小石 同亮岡崎 定司山本 千種小正 裕
著者情報
ジャーナル フリー

2007 年 51 巻 1 号 p. 58-66

詳細
抄録

目的: 著者らはオールセラミッククラウンの作製方法の一つである焼成陶材法において特別な機器や複模型の作製を必要とせず, 非常に短いシンタリング時間でコーピングを作製する方法を考案し, 臨床応用の可能性について検討した.
方法: コーピングの作製材料には, 粒径の異なる2種類のアルミナ粉末, 含浸用ガラスパウダー, リチウム珪酸ガラスおよび珪酸アンモニウム溶液を用いた. コーピングの結晶構造をX線回折法によって分析し, 破面を走査電子顕微鏡によって観察した. さらに, 作業模型に復位させたときのコーピングの浮き上がり量を, シンタリング後およびガラス含浸焼成後に計測した.
結果: コーピングの完成までは約4時間であった. コーピングはアルミナで構成されており, 珪酸アンモニウムはシンタリングによってガラス化していた. また, アルミナ粒子間の間隙はシンタリング時に減少し, ガラス含浸焼成によって完全に消失した.浮き上がり量は, シンタリング後が46-114μm, ガラス含浸焼成後が84μm-161μmであった.
結論: 本コーピング製作方法は非常に簡便で作業時間も短かった. また, 浮き上がり量は臨床で許容される範囲であった.

著者関連情報
© 社団法人日本補綴歯科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top