心理職の統合性は,医療,教育,ソーシャルワークなど他の多くの職種との協働によって促進される。こうして育った統合性を実践に生かすためには,クライエントが置かれた状況を取り巻く法の網の目を通して,心理職が連携を発展させていく場合に実現される。この協働作業の途上では,クライエントが自分自身についての種々の自己決定を行うことができるように,心理療法的な設定を組み立て 維持することが重要である。
この心理療法プロセスの間に心理職が多職種との協働作業を行うことによって,クライエントの生活史と生活環境の,生物-心理-社会的総合が達成される。このプロセスの目標地点は,人間の尊厳を享有し合うことを基盤として,心理職自らもその職業的統合性を達成することである。ここに表れている人間の尊厳の概念は,国連の人権宣言の中核を成すものであり,現代日本の社会福祉関係法を貫いているものでもある。心理職の仕事もまた,法の体系の中にあって,この概念に焦点を定めたものなのである。