抄録
【目的】Mirror therapyでは,運動手の鏡像観察によって一次運動野(M1)が活性化するとされるがその神経学的背景は明らかではない.本研究は,fMRIを用いその解明を目的とした.【方法】13名の健常学生を対象とし,MRI装置内で一側指の対立運動を行わせ,その鏡像を観察させる(Mirror)条件,および鏡像を遮断した(Masked mirror)条件でfMRIを撮像した.【結果】課題間の比較(Mirror vs Masked mirror)では,運動手と反対側半球の頭頂間溝吻側部(aIP)に強い賦活が認められた.【考察】本結果は,鏡像手が解剖学的な手とみなされるためと推察される.したがって,鏡像観察によるM1の活性化は,aIPからPMvを経由した情報によって生じるものと推察される.また,対側aIPの賦活ボクセル数は左手運動時に比べ右手運動で多く生じたことから,利き手との関連性が示唆された.