抄録
【目的】本研究は,変形性膝関節症(膝OA)患者30名に対し,体重免荷装置を用いたトレッドミル歩行(BWSTT)と通常のトレッドミル歩行をそれぞれ6週間行い,その効果を調べた.【方法】対象は,膝OA患者を無作為に実験群とコントロール群に振り分けた.実験を完了した25名に対し,初期,介入3週後,介入6週後の評価を行った.【結果】運動中の脈拍数において群間による有意差を認めなかった.体重免荷歩行は,10m歩行時間と6分間歩行試験,トレッドミル歩行中の歩行機能の歩行速度や歩行距離,歩幅のばらつきにて介入前と比較し介入後で有意に改善した.通常のトレッドミル歩行は,歩幅のばらつきにて介入前と比較して介入後で有意に改善した.しかし,ファンクショナルリーチテスト,開眼片脚立位試験,Timed Up and Go Test,SF-36のすべての項目で両群とも有意な改善を認めなかった.【まとめ】本研究でのBWSTTは歩行機能の改善には有用であるが,バランス機能や生活全般に関わるQOLを改善させるまでには至らないことが示された.