2025 年 14 巻 5 号 p. 233-236
症例は77歳男性.易感染性となる原因や溺水・交通外傷歴はなく,20年前から咳嗽,喀痰を自覚していた.検診異常で受診し,CTで気管支拡張を伴う粒状影・粘液栓を認めた.喀痰培養でScedosporium apiospermumを分離し,気管支擦過で糸状菌を認めた.ただ無菌検体からの証明が得られず定着の可能性がある.ボリコナゾール(voriconazole)の内服を開始し症状や画像は改善したが,MICが耐性域で薬剤効果との関係は限定的と考えられる.免疫健常者でも原因不明の肺炎では積極的に真菌培養を行う必要があると考え報告する.