抄録
【目的】肥満は小児期から様々な健康障害を引き起こす.そこで,肥満と関連性が強いとされている「早食い」の食行動・食習慣に着目し,早食いの有無と体格や血圧,血液生化学検査値,栄養摂取状況の関連を明らかにすることを目的として検討した.
【方法】6~15歳の原発性肥満小児77名(男児52名,女児25名)を対象に,身体測定,血圧測定,血液生化学検査,簡易型自記式食事歴法質問票(BDHQ)を用いた食事調査を実施した.早食いの有無は,BDHQ質問票項目の回答選択肢より,早食い群(かなりはやい・ややはやい)と非早食い群(ふつう・やや遅い・かなり遅い)の2群に分けて比較検討した.
【結果】早食い群は非早食い群より,体重,腹囲,腹囲身長比,体脂肪率,収縮期血圧,拡張期血圧,AST,ALTが有意に高値であった.またエネルギー摂取量が有意に多かった.
【考察】早食い群は,腹部肥満の程度が強く,血圧が高く,肝機能が悪い傾向がみられた.PFC バランスや飽和脂肪酸,ショ糖,食塩摂取量には有意差はなかった.「早食い」は肥満小児の腹部肥満の程度や健康障害と関連することが示唆された.