2010 年 12 巻 2 号 p. 147-149
地域連携パス(以下、パス)の運用において看護師は連携コーディネータとしての役割を期待されている。その役割は、患者への直接的な支援と連携ネットワーク構築の二つに大別される。千葉県がんセンターでは前者を外来看護師、後者を地域医療連携室看護師が担っている。地域医療連携室の看護師の具体的な役割は、連携ネットワーク構築やパスの基本設計作成など地域連携パスに係わるマネジメントである。「地域連携マネジャー」の役割を診療等で多忙な医師に代わって専任の看護師が担うことにより、複数の医療機関による地域医療チームの円滑な構築や、医療の質を保証した共同診療計画作成に寄与している。専任の看護師が「地域連携マネジャー」を担うことのメリットとして、1.医学的な知識がある、2.コミュニケーション能力が高い、3.時間の自由度が高くフットワークがよいなどがあげられる。特に地域医療チームの構築は、医療機関同士(対象は医師)を有機的に結ぶ必要があり、医学的な知識は必須であると考える。当センターでは現在、胃がん、大腸がん、乳がん、泌尿器科がん、婦人科がんについて5つの連携ネットワークをすでに構築し、約1,000人の患者にパスを適用した。その経験にもとづき、がん地域連携の質向上に向けて地域医療連携室の看護師が果たしてきた役割について報告する。