教育情報研究
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音楽鑑賞教育における感性の定量的測定とその学習効果 : シンセサイザーによる楽器の音色の良さについて
宮地 功岸 誠一
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1997 年 13 巻 2 号 p. 15-22

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抄録

教師が音楽のテープ, CDなどを聞かせるという受け身的な従来の音楽の鑑賞教育を改善するために, シンセサイザーを用いて音色の特徴を感じ取り, 感性を育てることにした. 6種類の楽器の音色が「白鳥」の曲に適合する度合を判断させることをAHPによる感性測定アンケートによって試みた. 楽器の音色の適合度を音楽に対する感性と考える. 音色の適合度と音楽能力について, 多変量解析した. 平均整合度によって, 児童を2グループに分けると, 音楽能力によってこの2グループがよく判別できることが判明した. 音楽能力において, 関心度は歌唱力と演奏力に関係があり, 歌唱力は演奏力に関係があることが分かった. 音の良さを適切に判断する能力の指標である整合度は, 関心度と演奏力に関係があることが分かった. 児童が感じた楽器の音色の適合度を非類似度として, クラスター分析した結果, 感じ方がおよそ4グループに分けられることが分かった. 児童が感じた6種類の楽器の音色の適合度と音楽能力とをそれぞれレーダーチャートに表して, 各児童の感性と音楽能力が視覚的に把握できるようにして指導しやすくした.

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