2022 年 38 巻 2 号 p. 41-52
本研究では,データサイエンス等に関する知識・技能を全ての国民が育むことが求められる背景の下,現職の小学校教員は,小学校教員がこれらのスキルを身につけておくことをどの程度有用と考えているのかについて,データサイエンティストの考えとの比較を通じて検討した.結果,小学校教員は,データサイエンティストよりも,小学校教員がこれらのスキルを身につけておくことについて「有用ではない」と評価しており,それはとくにデータエンジニアリング力に関するスキルにおいて顕著であった.また,データサイエンティストにおいては,日本の小学校教育の現状に対する危機意識が高い人ほどデータサイエンス力の有用性認知が高いのに対して,小学校教員はその逆で,危機意識が高い人ほど,データサイエンス力の有用性認知は低い傾向であった.今後,これらの認識の実態を踏まえた学習機会の提供や研修プログラムの在り方について検討を進める必要がある.