スポーツ教育学研究
Online ISSN : 1884-5096
Print ISSN : 0911-8845
ISSN-L : 0911-8845
小学校体育授業のボール運動及び器械運動における学習者の活動レベルと形成的授業評価との関係
スロト福ヶ迫 善彦鄭 ジュ赫岡出 美則高橋 健夫
著者情報
ジャーナル フリー

2004 年 24 巻 1 号 p. 1-12

詳細
抄録

本研究の目的は、体育授業中の活動レベル (PAL) の実態を明らかにするとともに、それら活動レベルと子どもによる形成的授業評価との関係について分析することであった。研究対象は1994年から2001年にかけて関東圏内の16小学校で行われた60の体育授業 (5・6年生) であった。観察記録法として、GTS観察記録法が適用された。4つの体育授業場面 (運動学習場面、認知学習場面、インストラクション場面、マネジメント場面) に区分され、それぞれの授業場面における学習者の活動レベルが、McKenzieら (1991b) によって作成された活動レベルにもとづいて観察記録された。活動レベルは、(1) 寝ている、(2) 座っている、(3) 立っている、(4) 歩いている、(5) 活発な運動活動を行う、の5つに区分された。子どもの授業に対する満足度を知るために、高橋らによって標準化された子どもによる形成的授業評価が適用された。授業中の活動レベルと形成的授業評価との関係について分析した結果、次の諸点が明らかになった。
(1) 体育授業では40.48%の学習者が中・高程度の活動レベル (歩く、運動活動) に従事していて、33.70%の学習者が立っており、そして25.82%の学習者が座っているか、寝ている活動に従事していた。中・高程度の活動は、大部分、運動学習場面とマネジメント場面で生じた。
(2) 中・高程度の活動レベルに従事している学習者の割合と形成的授業評価とは、総じて弱い有意な関係がみられた。
(3) しかしボール運動と器械運動の授業ごとに、それぞれの運動学習場面に限定して「活動レベルと形成的授業評価との関係」について分析した場合、ほとんど有意な関係がみられなかった。
(4) 活動レベルと形成的授業評価との関係は、ボール運動より、器械運動のほうが強くみられた。

著者関連情報
© 日本スポーツ教育学会
次の記事
feedback
Top