野兎研究会誌
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積雪期におけるノウサギ・キツネの垂直分布と生息数 : 北海道石狩・留萌地方における
柴田 義春林 知己夫林 文樋口 輔三郎豊島 重造
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1990 年 17 巻 p. 13-20

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抄録

1. 冬期足跡の,写真データによるノウサギの垂直分布は,低地平野部から高山(ここでは標高800m)にいたるまで広く分布しているのにたいし,キツネでは標高300m以下の低地帯に分布し,その多くは散在する人家周辺であった。これは,両種の食性の相違によるものと思われ,とくにこの季節において,キツネの人間生活への依存性が強くうかがわれた。2. ビュッホン法による推定密度は,ノウサギで1ha当たり0.0531頭,キツネでは0.0155頭であり,その比は0.29であった。またノウサギの密度は当別・留萌の調査によるものとも合わせ,総じて過去5年鑑の全道の密度レベル(0.0407〜0.0718頭/ha)を反映したものであった。3. キツネの密度推定にあたっては,1夜の平均行動距離を一応3kmとした。しかし,これについては標本数をふやし,より実際にかなった数値を求めることが,今後,必要である。

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© 1990 森林野生動物研究会
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