野兎研究会誌
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ノウサギ類の血液所見
成島 悦雄橋崎 文隆河野 典子斉藤 勝
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1982 年 9 巻 p. 1-11

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抄録
臨床的に健康と思われるエゾユキウサギ6頭(♂2 ♀4)、キュウシュウノウサギ10頭(♂6 ♀4)、トウホクノウサギ14頭(♂6 ♀8)の合計30頭から述べ41回血液を採取し、血液学的検査および血液性価格的検査を実施して分析検討を加えた。今回実施した血液学的検査では、種間差、亜種間差は認められなかった。しかしノウサギ類とイエウサギ類を比較すると赤血球数、血球容積、血色素量がノウサギ類では高い傾向にあり、その運動能力との関連が推察された。血液生化学的検査では血清蛋白中のアルブミンの割合にキュウシュウノウサギとトウホクノウサギの間に亜種間差(P<0.05)が、LAPにエゾユキウサギとノウサギの間に種間差(P<0.01)が有意に認められた。イエウサギとの比較では、ノウサギ類は血清蛋白中のアルブミンの占める割合と血糖値が高く、アルカリ性ホスファターゼ値は低い傾向にあった。検査項目によっては例数が少ないため、今後も更にデータの収集に務めていきたい。
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© 1982 森林野生動物研究会
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