2011 年 20 巻 3 号 p. 271-278
われわれは耳下腺原発筋上皮癌を経験した。症例は60歳男性。平成20年7月頃より左頸部腫瘍を自覚し,増大傾向を認めたため,10月16日近医病院を受診し,10月17日当科紹介受診した。左耳下部から側頸部に腫瘍を認め,腫瘍の下方にリンパ節腫脹を認めた。左耳下腺癌T4aN2bM0と判断し,11月17日全身麻酔下左耳下腺部分切除術,左頸部郭清術施行し,筋上皮癌であった。術後加療として放射線治療を施行したが,平成21年2月より右外転神経麻痺が出現し,海綿静脈洞への転移を認めた。しかし左耳下腺部,左頸部の再発は認めず,放射線治療が有効な可能性が示唆された。