2011 年 20 巻 3 号 p. 287-290
濾胞型乳頭癌40例について,US所見と細胞診による術前診断とその治療について検討した。US所見にて28例(70%)の症例で悪性が疑われたが,10例(25%)は良性結節様であった。細胞診では39例中36例(92%)で乳頭癌が疑われた。US所見,細胞診ともに濾胞性腫瘍と診断されたものが1例みられた。甲状腺全摘が29例,葉峡切除が11例に施行され,術後病理診断で腺内転移あるいは腺内多発が8例(20%)にみられ,pEx0 19例,pEx1 21例,pEx2はなかった。38例にリンパ節郭清を施行し,pN0が23例(60%),pN1a 8例(21%),pN1b 7例(18%)であった。US所見で良性結節様であった11例中10例はpN0であり,US所見が良性結節に類似している症例ではリンパ節転移が少ないことが示唆された。