抄録
症例は74歳男性,既往歴に特記事項はなく,術前検査にて異常所見は認めていなかった。口腔底癌T4aN2cM0に対し,下顎骨区域切除を伴う舌口腔底悪性腫瘍手術,両側保存的頸部郭清術,腓骨および大胸筋皮弁による再建術を予定していた。形成外科による再建手術中,心停止となった。各科の協力により心拍は再開し,経皮的心肺補助装置(以下PCPS)と大動脈内バルーンパンピング(以下IABP)を装着し,循環動態を維持することができた。予定していた下顎骨再建手術は取りやめ,大胸筋皮弁のみにて可及的に口腔底の再建を施行した。術後高次機能障害は認められず,嚥下リハビリにて経口摂取が可能となり退院となった。