抄録
下咽頭扁平上皮癌においてN2c症例は遠隔転移の高リスク群であり予後不良である。N2c群の中にも,
原発が片側にとどまるN2c群(原発片側群)と,原発が両側に拡がるN2c群(原発両側群)を認めるが,両者に
遠隔転移の状況や予後で差異があるのか後方視的に検討した。対象は,2008年から2016年に下咽頭扁平上皮癌新鮮例のうち,下咽頭喉頭全摘術および両側頸部郭清術を施行し,病理学的N2cが証明された41例とした。解析結果では,全生存率,疾患特異的生存率では両者に有意差は認めなかったが,無遠隔転移生存率は5年時点で原発片側群で40%,原発両側群で75%であり有意差を認めた。N2c症例で,原発が片側にとどまる症例はより遠隔転移を来すリスクが高い可能性が示唆された。