抄録
局所進行喉頭癌clinical T3例に対する喉頭温存治療として,化学放射線治療(以下,CCRT)が提示されている。当科では,2013年までは喉頭全摘出術(以下,TL)を基本とし,3年生存率は100%と良好であったが,3年喉頭温存率は20.5%と低かった。2014年からは,CCRT,セツキシマブ併用放射線治療(以下,BRT)を方針に含めたので治療成績を報告する。対象は,当科で初回根治治療を行い,治療後1年以上追跡可能であった20例。傍声帯間隙浸潤例はCCRT/BRT,喉頭固定例はTLを基本とした。局所再発・残存例は2例で,いずれもBRT例であった。CCRT/BRT群とTL群で,3年疾患特異的生存率はそれぞれ90.0%,100%で有意差はなかった(p=0.44)。3年喉頭温存率は50.0%に向上した。