抄録
本邦における甲状腺癌の罹患率は上昇傾向にある。甲状腺手術は頭頸部外科入門手術として選択されることも多い。ただ,反回神経麻痺や副甲状腺機能低下など合併症が生じると患者QOLの低下は著しい。
反回神経に関しては,形態を温存するだけでは不十分であり,機能の温存が求められる。術中神経モニタリングの信頼性はガイドラインの確立などにより大幅に向上した。特に迷走神経刺激による術中持続神経モニタリングにより,反回神経麻痺の発生低下が期待される。
副甲状腺の温存も重要である。近年,副甲状腺の自家蛍光特性を利用した赤外線観察カメラシステムによる副甲状腺検出法の有用性が報告されている。