2023 年 32 巻 3 号 p. 293-298
骨化性線維粘液腫瘍(OFMT)は鼻・副鼻腔領域においては稀な疾患である。今回われわれは鼻翼に生じたOFMTの症例を経験した。54歳男性が右鼻内の腫瘤を主訴に受診,外鼻孔から鼻腔内に腫瘤を認めた。身体所見・経過・画像所見などから上皮系皮下腫瘍を考え,治療および診断確定目的に手術を行った。鼻内皮膚粘膜移行部からの切開にて内視鏡を用いて腫瘍を摘出した。骨化を含む病理組織像と免疫染色からOFMTと診断した。OFMTは基本的には経過良好であるが,悪性例では再発や転移を生じる場合がある。稀少疾患であるが,実臨床で遭遇しうる疾患であり,術前画像検査で石灰化部分の混在が示唆される腫瘤を認めた際には鑑別を要する。