頭頸部外科
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原著
LESAの病理診断からシェーグレン症候群の診断に至った耳下腺内多発膿疱症例
末吉 慎太郎渡邊 紗千永田 圭梅野 博仁
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2024 年 34 巻 2 号 p. 157-163

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抄録
(背景)両側耳下腺内の多発腫瘤の組織生検から,シェーグレン症候群の診断に至った症例を経験したため報告する。(症例)72歳,女性。1か月程前より耳下腺の急激な増大を認めたため,病院を受診した。両側耳下腺内に多発する囊胞を認め,組織生検を行い,リンパ上皮性唾液腺炎の病理診断となった。さらに抗SS-A抗体が陽性でありシェーグレン症候群の診断に至った。ステロイドの投与を行い,囊胞は縮小した。(考察)シェーグレン症候群に伴うリンパ上皮性病変は,悪性リンパ腫の発生母地になるため,注意を要する。稀に本症例のように囊胞を形成することがあるため,耳下腺腫瘤の鑑別疾患として本疾患を念頭にいれる必要がある。
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