抄録
2021年1月から2023年12月までの3年間に東京大学医学部附属病院耳鼻咽喉科・頭頸部外科単科で胸骨切開を施行した6例のアプローチ法および安全性を検討した。病理組織型は甲状腺乳頭癌5例,扁平上皮癌1例。病変は腕頭静脈上面に位置する病変4例,腕頭静脈背側に位置する病変1例,静脈角に浸潤する病変1例。胸骨裏面から胸骨甲状筋を剥離後,第1肋間でのL字切開を行った。静脈角周囲に病変が及んだ1例はTransmanubrial approach(TMA法)を追加した。術後胸骨切開部の感染や機能障害は認めなかった。胸骨周囲の解剖を理解することで,頭頸部外科単科でも安全に胸骨切開は可能であると考えられた。