1979~91年の声門上癌N0手術症例148例を対象に,予防的頸部郭清術の適応と郭清範囲を検討した。潜在性頸部転移例は46例(31%)で,両側転移は20例に,傍気管転移は4例にみられた。T病期別頸部転移率は,T1,0%(0/1);T2,17%(9/54);T3,36%(24/66);T4,48%(13/27)であった。T病期分類と佐藤分類を用いることにより,予防的頸部郭清術の適応(潜在性頸部転移率20%以上)は,T3・T4症例と一部のT2症例(transglottis,lateral typeとsupraglottis,median type)と考えられた。郭清範囲は,transglottis,lateral typeは患側の,それ以外は両側の内深頸リンパ節群であり,顕著な声門下進展例では傍気管部郭清も必要と考えられた。