1995 年 5 巻 2 号 p. 165-168
甲状腺乳頭癌N0症例に対して如何なる郭清術を行うのが合理的かについて検討した。甲状腺癌取扱い規約のI~IV に加えて,IV,VI に相当する内深頸、リンパ節と鎖骨上窩リンパ節の郭清をするJugular Neck DissectionをNO44例に行った。これらの病理組織学的リンパ節転移率は84%で,内深頸リンパ節でも75%と高率であった。合併症は副神経,反回神経の損傷,乳び漏が各1例であり,非郭清部の再発例はない。N1全頸部郭清35例における副神経リンパ節へ転移率は上6%下18%と他の領域に比べて低率であった。そこでJugular Neck Dissectionは選択的郭清術として合理的であり,合併症も少なく適切な術式であると言える。