農業土木学会誌
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水田の窒素容量と水質保全対策
小川 吉雄酒井 一
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1989 年 57 巻 7 号 p. 593-598,a2

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抄録
潅漑水中の窒素の動態を調査して, 水稲に対する形態別限界濃度を明らかにし, さらに, 窒素収支から水田における潅漑水中の窒素の浄化率を求めた。その浄化率は, 生育初期は50%以下であるが, 出穂期には90%以上に達した。水田は農業生態系の中で貴重な窒素浄化ゾーンといえる。そして, その機構は, 水稲による吸収利用と土壌の脱窒作用に大別された。
環境保全・水質保全の立場から, 河川水をはじめとして潅漑水も量から質への転換が迫られている。農業生産を対象とする潅漑用水に加えて, 陸水の富栄養化防止, 植生, 生態の保護・保全, 農村景域環境の管理などを目的とした「環境管理用水」という概念を提起した。
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© 社団法人 農業農村工学会
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