マレーシア・ムダ潅漑地域では, 水路密度を従来の10m/haから約3倍の水準まで増加させるべく, 三次水路整備事業が進行中である。しかしながら, 水路密度がせいぜい30m/ha程度の整備水準のもとでは, 潅漑水が末端水路から各圃場に到達するのに要する時間は水管理上決して無視できない。本報では, 水路密度約25m/haの三次水路整備 (ムダII計画) 地区を対象に, 3年間にわたり実施した水収支調査をもとに,(1) 初期潅水期の水使用効率,(2) 初期潅水開始直前における地区内保留水量,(3) 初期潅水用水量,(4) 水稲生育期の水使用効率,(5) 水稲生育期の流出特性等を定量的に明らかにした。