抄録
既設暗渠の埋戻し土の性状が排水機能に及ぼす影響を, 隣接する未撹乱部を対照にして調査し, 検討した。
(1) 埋戻し上部は暗渠施工作業や営農作業により埋戻し下部よりも圧縮される。埋戻し下部では湿性化やグライ化により, 土壌構造が変化する。これらの変化は埋戻し部での粗孔隙量の減少や透水性の低下をもたらす。
(2) 埋戻し上部の圧縮や練返しを回避し, 埋戻し下部の構造を安定化させることが必要である。埋戻し上部については心土破砕などにより粗孔隙量を確保すること, 暗渠掘削下部については石礫などの安定した疎水材を使用することや, 土壌の乾燥化を図ることが, 暗渠の排水機能を発現・維持させるために, 有効と考えられる。