農業土木学会誌
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マルチメディア時代の日本農業と農業農村整備
丹治 肇
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1997 年 65 巻 10 号 p. 1001-1006,a1

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抄録

2010年頃には,マルチメディア時代に突入すると予測される。ここでは,マルチメディア時代の日本農業と農業農村整備事業の姿を論じた。日本農業では,農業の第3次産業化が進んでいるが,マルチメディアはこの方向を促進し,市場機能の低下と契約栽培の増加,観光農業等の参加型の農業の増加が予想される。今後の日本農業では高齢化が重大な課題であるが,老人の活躍する場としてのノンプロフェッショナルな農業の見直しが求められる。老人農業とマルチメディアを結びつけるには,現在のユーザーインターフェスは余りに貧弱で,将来像は明らかでないが,ここには大きなマルチメディアの市場がある。農業農村整備事業では,まず,地域基盤しての光ケーブルネットワークの整備がユニバーサルサービスの視点から重要である。さらに,CALSの促進,事業メニューの中でのハードウェアに付随したソフトサービス部門の拡大が予想される,土地改良区は,農家戸数の減少に伴い新しい支持基盤を必要としいるが,マルチメディアの進展は,土地改良区のもつコミュニケーションの基盤を変えつつあり,都市住民も巻込んだ開かれた土地改良区に変わる可能性もある。

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© 社団法人 農業農村工学会
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