1999 年 67 巻 10 号 p. 1069-1085,a1
バブル経済とその崩壊に伴う国民の価値観の多様化やガット・ウルグァイラウンド農業合意関連対策という農政の大きな流れのなかで, 農業農村整備事業はこの10年間に新たな展開を見せており, 計画技術も進展してきた。
計画の対象は, 農地や農業用水路を包含し, 計画の目標 (あるべき姿) も農地の生産性の向上に加えて快適な生活環境の整備, さらには自然環境への配慮等と多様化してきている。また, 計画手法についても, 計画の対象と目標の進展に対応し, 工学的手法のみならず自然科学的手法, 地域社会全体としての視点や国民経済全体としての視点が求められる等多面的かっ高度な対応を見せている。確立された具体的手法は土地改良事業計画設計基準等に順位付けられ, 計画技術の精緻化, 普遍化を進めている。